家族の形は家族の数だけあると思うので、ここに書かれていることが正解かはわかりません。ですが、家族が癌になったと知るときは目の前が真っ暗になります。頼れる人がいないと余計に不安、心配、心細さが生まれたり、サポートや励ます側の精神力も試されます。
そんな時にちょっとでもヒントになればいいなと思い、残していくことにしました。
ここでは癌と診断される前から抗がん剤治療が始まる前までをご紹介します。
長く続いた体調不良
父は肺癌でした。癌と診断されるまでに、約5か月の時間がかかりました。始まりは「だるさが抜けない」「疲れやすい」「嫌な感じがする」そういうことが増え、それがずっと続くんです。
食欲も落ちて行きます。食べるものもさっぱりしたもの、胃に負担にならないものが増えました。一番辛いときは「食欲がない」より「食べたくない」と体がNOしていたようです。
だんだんと歩いていると苦しくなり、大学病院側からは検査をいくつか組んでもらいましたが、そのスケジュールには追い付いていかないくらいの悪化をしていきました。愚痴になりますが、あれだけ苦しそうにしても病院側って機械的で、予約が埋まってるのでと流されるんですよね。緊急度が違うのだから早く検査して見つけてくれていればと何度も思いました。
緊急入院
結局検査する前に緊急入院となりました。このころには車椅子でないと病院には行けず、衰弱していました。入院のきっかけは血痰が出たことです。
午前中に検体を持っていき、手続きが完了したのは夕方ごろだったのを覚えています。
キーパーソンは私になりました。
「癌」はそこにいるのにまだ治療はできない
レントゲンを撮ると肺に大きな腫瘍がありました。レントゲン写真を少し前に見ていたので、短期間での成長スピードに驚きました。(なんで定期的にCT撮っているのに…という愚痴がここでも生まれます)
目で見て「癌」とわかるけれど、すぐには抗がん剤治療に入れないと医師から伝えられました。どうやら病理検査で癌細胞が採取できない限り、治療ができないらしいんですね。知らなかったです。。
持って行った検体から採取できればいいのですが、その数日ですら癌は父の体を蝕みます。
結果が出るまでは家族で密に話し合うことが増えました。父の場合は負ける戦いに挑むことになるからです。家のこと、仕事のこと、相続のこと、いろんな話をするようになりました。真剣に話すけれど、一人になった時に襲われる悲しみや不安と共に過ごしていく日々が始まりました。
手続きやサインするものがたくさんあります
手続き関係は私が全て担いました。入院の申込書、入院セットの申込、生活情報を記入したりと書くものがたくさんあります。何度も入退院を繰り返す場合は、一度書いたものを写真に撮っておくと後々楽です。高額医療になるので高額医療費の手続きも済ませておくといいですね。
病室もプラス料金が発生しない部屋はすぐに埋まってしまうので、空いていないと人数の少ない部屋へ入ることになります。細々したところでも追加料金が発生したりするので、入院案内はきちんと目を通して入院プランを患者さんやご家族と決めていくといいと思います。
もし入院患者さんが大手企業にお勤めだった場合は、福利厚生で差額ベッド代を負担してくれることもあるみたいです。万が一の時に備えて会社に聞いておくといいかもしれません。
入院時用意してよかったもの
- 耳栓
数人いるの部屋なので、入院日の翌朝に夜眠れなかったと連絡が来て耳栓を用意しました。眠れないと体力や気力に影響が出るので、あると安心です。 - 体拭きシートやシャンプーシート
シャワーを浴びられないときやスッキリしたいときに使いました。 - 首から下げられるスマホストラップ
- 孫グッズや家族写真
日々の速度に感情が追いつかない
父が入院する少し前にメンタルクリニックに行くようになりました。きっかけはサポートや心配が増えて睡眠がとれなくなってきてしまっていたんです。なので状況は父も私も己のことを見つめる時間でもありました。
癌患者さんの体は本当に日々状況が変わっていきます。お医者さんから言われる言葉を受け入れるのにも時間がかかります。
そういう時にもし本音を話せる人がいたら、まとまりのない話でも聞いてもらってほしいです。今の時代でしたらSNSを利用するのもありです。
一人で抱え込んでいくと疲労の蓄積スピードが速いので、ご自身の体が壊れてしまうとサポートができなくなります。なので頼れるものには頼ってほしい、そういう気持ちです。